旅に病んで翁も見上げた時雨かな 緑川行燈
令和5年11月12日
誰しもが未練を残し紅葉散る 令和5年11月25日
あと少し命を灯し冬田道 令和5年11月28日
艱難に研ぎ澄まされて冬の星 令和5年11月30日
因果ごと受け入れきつて浮寝鳥 緑川行燈
令和5年12月1日
冬の川春の川まで冬の川 令和5年12月8日
70の晩学楽し冬籠 令和5年12月20日
笑顔から寝顔の娘クリスマス 令和5年12月25日
除夜の鐘煩悩具足の我のまゝ 令和5年12月31日
春着の子楊貴妃の如舞ひにけり 緑川行燈
令和6年1月2日
三回忌あの日のままに寒の雨 令和6年1月4日
凍鶴や逆境もなし順境もなし 令和6年1月23日
寒月や死に近づけば美しく 令和6年1月26日
戦場の人の命や寒椿 令和6年1月31日
立春の気配確かにあちこちに 緑川行燈
令和6年2月4日
白梅や白装束の花ならん 令和6年2月10日
夜の闇赤眼光る猫の恋 令和6年2月14日
雨音も心地良くなり雨水の日 令和6年2月19日
紅梅や心にぽつぽと灯を灯す 令和6年2月25日
娘への父の愛情木の芽雨 令和6年2月28日
雛祭膝の上にもお雛様 緑川行燈
令和6年3月3日
今日もまた訃報の電話雁帰る 令和6年3月10日
幾重にも縁を結びて彼岸かな 令和6年3月23日
毎日が思い出となる菫草 令和6年3月26日
仕事して家族と暮らして菫咲く 令和6年3月26日
忙しくて今年は一度きり桜 緑川行燈
令和6年4月1日
雨上がり風吹き清明の香り 令和6年4月4日
苦しみも生まれたおかげ花祭 令和6年4月8日
終わりある命美し花の雨 令和6年4月10日
亡き妻の夢から覚めて朧の夜 令和6年4月20日
庭に洗濯物を干す
進級の娘の体育着春惜む 令和6年4月24日
山里に一人自生の藤の花 緑川行燈
令和6年5月1日
新茶よりどら焼き喜ぶ娘かな 令和6年5月2日
田舎道車窓に泳ぐ鯉幟 令和6年5月5日
筍を持ちきれぬほど貰いけり 令和6年5月10日
今年もまた筍飯を三杯目 令和6年5月10日
母の日に訪えばおにぎり用意あり 令和6年5月19日
嘉島町にて
緑川風も光も麦の秋 令和6年5月25日
亡き妻の面影のまゝ花菖蒲 緑川行燈
令和6年6月1日
「来年はもう見れないね」蛍の夜 令和6年6月6日
80の夫婦2人の田植えかな 令和6年6月8日
紫陽花や微笑みの下憂ゑけり 令和6年6月15日
紫陽花や桜無き世を満たしけり 令和6年6月16日
五月雨の降り残さない夜ならむ 令和6年6月22日
遅刻して来た人の如梅雨の月 令和6年6月23日
五月雨の音に紛れて泣く夜かな 令和6年6月24日
今年もまた朝顔の朝始まりぬ 緑川行燈
令和6年7月1日
来年は空から見るや星祭 令和6年7月7日
初蝉や初寝の朝に響きけり 令和6年7月8日
朝顔を三度数えて26輪 令和6年7月21日
炎昼の彼方に沸き立つ雲の峰 令和6年7月30日
草いきれ子供の頃の記憶あり 令和6年7月31日
真つ白な昼の中から夏の蝶 緑川行燈
令和6年8月1日
人の世に紛れてみらむ夏祭 令和6年8月4日
向日葵や命の原色色に咲き 令和6年8月8日
灯籠の微かに揺れて知らせをり 令和6年8月13日
相変わらず無口な人ね墓参 令和6年8月15日
束の間の浮世楽しも盆踊 令和6年8月16日
湯上りに火照りにけりや夏の月 令和6年8月18日
涼風の至りて微かに虫の音も 令和6年8月21日
子供等の千手葡萄の消えにけり 緑川行燈
令和6年9月10日
コスモスや小児病棟夢あまた 令和6年9月10日
白銀の光あまねく良夜かな 令和6年9月17日
力尽くせば自然は恵む稲田かな 令和6年9月25日
白波の走るが如く芒原 令和6年9月26日
新米や全ての縁起に手を合わす 緑川行燈
令和6年10月3日
運動会遠い記憶の歓声や 令和 6年10月10日
朝顔の青きの澄めば秋は来にけり 令和6年10月15日
今年もまた晩秋の名月と会ゑにけり 令和6年10月18日
名月や世界よお前は美しい 令和6年10月18日
退院日肩を借りれば秋高し 令和6年10月20日
背の伸びた娘に毛布を夜寒かな 令和6年10月25日
寿命自ら覚ゆる
死よりも娘哀れや秋時雨 令和6年10月31日
弊社のご紹介している「終活俳句」とは、終活に関する内容を俳句にすることではなく、終活の一環として、シニアの方が人生の後半・晩年に、新しい趣味として、俳句の勉強を始めることです。「終活俳句」は、人生の最晩年をより豊かな穏やかな時間に導く、終活・趣味の1つだと考えています。
俳句は自由です。紙と鉛筆があれば出来ます。遠くに出かけなくても、身近の自然や季節のこと、日々のちょっとした出来事や過去という宝物を詠めます。体が不自由になっても、伴侶に先立たれて一人になっても、人生の最後まで、俳句は皆さんと共にあります。認知症予防にもいいそうですよ。
古語や旧仮名遣いや文法や類想類句や結社や入選や上手・下手など考えずに、自分の為だけに、「70の手習い・80の手習い・90の手習い・100の手習い」で、俳句と共にある生活・人生を始めてみませんか。
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